ウナギの稚魚4割が出所不明 水産庁、関連法改正へ 不正流通横行
23時間前
絶滅が危ぶまれるニホンウナギの稚魚「シラスウナギ」の2021年漁期(20年11月~21年5月)で、国内採捕量の約4割に密漁や漁獲の無申告、横流しなどの疑いがあることが17日、水産庁への取材で分かった。同庁は取引の透明化と罰則強化を図るため、漁業法改正に乗り出すなど抜本的な制度改革を進めているが、長年にわたって横行する不正流通がいまだにはびこっている実態が改めて浮き彫りになった。
養殖のためのシラスウナギ漁は、本県など来遊する24都府県で行われている。同庁によると、21年漁期に国内の養殖業者が池入れしたシラスウナギは18・3トン。このうち、7・0トンは中国などからの輸入だった。残り11・3トンは国内採捕とされるが、漁を許可する24都府県への報告量は7・0トンにとどまり、38・1%に当たる4・3トンは不正流通の疑いが強い「出所不明」のシラスウナギだった。
本県の同漁期の漁獲量は1・2トン。ただ、把握できているのは採捕団体から県への報告量のみで、全容は分かっていない。関係者からは「県内で捕れたシラスウナギは県内の養殖業者にしか出荷できない決まりだが、取引価格の高い愛知県や九州に流れている」「水揚げの申告量が明らかに少ない業者がいる」などの声が上がる。
シラスウナギの国内採捕量のうち、毎年4割前後が出所不明のままという。ウナギの消費大国である日本に対する国際社会の批判が高まる中、脱税などの温床にもなっている不透明な流通経路は改善が進んでいない。
このため同庁は「現行のルールは実態にそぐわない」(栽培養殖課)として、関連法を改正する方針。シラスウナギ漁は現在、養殖に使うための特別採捕だが、23年12月までに一般的な水産物と同様に漁業法の対象に加える。
取引を原則自由化して流通の透明化を図るとともに、密漁の罰金額や懲役期間を大幅に引き上げる。番号を割り振って流通履歴を明らかにするトレーサビリティーの対象に、シラスウナギを加えることも検討している。
<メモ>シラスウナギ ウナギの稚魚の総称。ニホンウナギの場合、本州から約2000キロ南のマリアナ海溝で生まれ、黒潮に乗って日本沿岸にたどり着き、河川に上る直前のものをいう。色は透明に近く、体長は約6センチ、重さは0.2グラム程度。取引価格の高騰で「白いダイヤ」とも呼ばれる。2021年漁期の国内平均取引価格は、1キロ当たり132万円だった。
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